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NHK出版『ビッグクエスチョン』刊行記念シンポ開催
NHK出版は3月24日、東京・千代田区のJPタワーホール&カンファレンスで、『ビッグ・クエスチョン』出版記念シンポジウム「ホーキング博士のラストメッセージを読み解く!」を開催し、約428人が参加した。
『ビッグ・クエスチョン』は、ホーキング博士の死後、パソコンに残っていた人類にとっての大きな10のクエスチョンに対する答えを、娘のルーシー・ホーキングさんが中心になってまとめた。2018年秋に英語版が発売されたのを皮切りに各国語版での出版が続き、日本語版は40カ国語目としてホーキング博士の命日の3月14日に初版3万部で発売し、発売前に1万部を重版、さらに3刷(4月4日出来)で累計6万部になっている。
シンポジウムの冒頭、ホーキング博士の次男ティモシー・ホーキング氏があいさつに立ち、日本を訪問した父親からもらったスーパーファミコンや音楽CDなど、1992年に父親と兄弟とともに来日した思い出を語り、「いまも、常に好奇心を持って周りのことすべてに問いかけ続けるという父の教えを日々実践している。父の知性には及ばないが、熱意を持って新しいことに意欲的に取り組む姿勢には、いまも触発され続けている」と述べた。
続いてのパネルディスカッションは、ジャーナリストの池上彰氏を司会に、物理学者の村山斉、メディアアーティストの落合陽一、毎日新聞東京本社科学環境部記者で大宅賞受賞者の須田桃子の各氏が登壇。
同書について村山氏は「わざと断定的に言って物議を醸すことで問題点をはっきりさせようとしているホーキング博士らしい本」と表現。須田氏も「普通、取材していても研究者は慎重に言葉を選び、言い切ることはない。ホーキング博士は身体は不自由だったが、発想が自由だった」と述べた。
続いて池上氏が「神の存在」「ビッグバン」「未来はどうなるのか」「AIは人間より賢くなるのか」といった同書に登場するビッグクエスチョンをパネリストに問いかけて議論した。
須田氏は「ポジティブな未来を迎えるためには、人々が科学や科学技術への理解を深める必要がある」と指摘。村山氏も「知識を独占するのではなく社会で共有しなければならない。それはジャーナリストにも化学者の大事な役割」と述べた。
最後に池上氏は、「人間には限界があっても、想像力には限界がない」と述べ、かつて読んだスタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』を上げ、「旧ソビエト時代の東欧では宇宙のことなら自由に想像力を羽ばたかせることができた。皆さんもいろいろと限界があると思うが、想像力を羽ばたかせてほしい」と述べて締めた。
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